学校の先生から相談を受けたのは、「登下校の管理が煩雑で、保護者への連絡が遅れることがある」という課題でした。特に低学年の場合、予定と異なる下校をした場合の対応が難しい。
解決策として提案したのが、顔認証による自動検知とLINE通知の組み合わせです。
技術スタックの選定
顔認証にはTensorFlowとOpenCVを使いました。既存の顔認識モデルをベースに、学校という環境に合わせたチューニングを行っています。
検討した選択肢はいくつかありましたが、精度・コスト・運用のしやすさのバランスでこの組み合わせを選択しました。クラウドの顔認識APIも候補でしたが、生徒の顔データを外部に送ることへの懸念があり、オンプレミスで完結する構成にしました。
顔データは個人情報の中でも特に慎重に扱うべきデータです。「できる」と「やるべき」は別の話です。
プライバシーへの配慮
顔認証システムを学校に導入するにあたって、最も時間をかけたのはプライバシーの設計です。
登録する顔データは暗号化してローカルに保存します。認証に使う特徴量(ベクトルデータ)のみを保持し、元の顔画像は保存しません。保護者への通知も「○時○分に登校しました」という情報のみで、カメラ映像は送信しません。
保護者・学校側への説明会を事前に行い、同意を得た生徒のみが対象となる仕組みも作りました。技術で解決できることと、人間の判断が必要なことを分けて考えることが重要です。
運用して見えてきたこと
実際に動かしてみると、技術的な精度よりも「使い続けてもらえるか」の方が難しいと気づきます。
先生方のITリテラシーはさまざまです。管理画面のUIは、PCに慣れていない方でも直感的に操作できるよう、何度もフィードバックを受けながら改善しました。通知のタイミング・文面も、実際に受け取る保護者の声を聞きながら調整しています。
VECTのシステム開発は、技術的な面白さだけを追うことはしません。使う人の現場に何度も足を運び、「ちゃんと機能しているか」を確認し続けることが仕事だと思っています。
